【DEIBA/個と組織⑤】境界線と心理的距離
“心地よい距離感”を、あなたは持てていますか?
──境界線という大人の知性
先日、ある管理職向け研修のあと、参加者のひとりがこう漏らしました。
「私はチームに関わりすぎていたのかもしれません。
“近さ”=“思いやり”だと思い込んでいました」
その方は、部下のちょっとした変化にも敏感で、悩みがあればすぐに気づき、声をかけ、気にかけ続けていました。でもある日、突然部下から距離を取られ、ショックを受けたそうです。
「人と良い関係を築くためには、近づくことが正解」──私たちは、そう信じて疑わないことがあります。
でも、本当にそうでしょうか?
関係性においては、“つながる”ことと同じくらい“距離を取る”ことも大切です。
心理学ではこれを「境界線(バウンダリー)」と呼びます。
距離が近すぎれば息苦しくなるし、遠すぎれば孤独になる。
絶妙な“ちょうどよさ”が、安心感や信頼関係のベースになります。
ときには「断る勇気」や「離れる力」も必要です。
それは冷たさではなく、“関係性を守るための知性”です。
境界線を上手に引ける人は、自分のリズムを大切にしながら、他者にもやさしくなれます。
人間関係で疲れやすいと感じているなら、もしかすると“ちょうどいい距離”を見失っているのかもしれません。
あなたは今、誰と、どんな距離感で関わっていますか?
それは心地よいバランスでしょうか?
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